基礎講座 開催報告 & 参加者の声
◯ 夏の基礎講座、開催。
2015年8/4(火)5(水)の2日間、外苑前にあるCCCアジトにて、基礎講座8月期が実施されました。
今回の参加者は13名。年代は下は20代〜上は50代の方まで。
そして、社会人1年目の方から企業やNPOの経営者まで。
また、特定の企業からまとめて派遣されて来た方も居れば、直接個人で申し込んで来た方まで。と、男女含めて多種多様な方々が参加し、その多様性の対話の中からそれぞれにとって必要な学びや気づきが起きて行きました。
この基礎講座では2日間を通じて、自分自身が今どんな「在り方 (Being) 」から「どのような現実を創り出しているのか」に認知的になり、望む未来を創り出すために本当に必要な事は何なのかを掴んで行く事を意図しています。
今回は、その2日間で何が起きたのか。どのような事を気付き、学んだのか。そして、1ヶ月後に実施された振り返りセッションを含め、それぞれにどんな変化が生まれたのか。その辺りをお伝え出来ればと思っています。
◯ 緊張感漂う「危険な場」から、安心安全の場へ
初日、いつも通りチェックイン。人数が多い事もあり、また、同じ会社の同僚の方が居るのも影響したのか、やはり場に緊張感が漂っているように見えました。そしてチェックインが終わり、出される問いをテーマにダイアログに入ります。
その問いは、「なぜ、ここに居るのか」。
なぜって、会社に行けって言われたから・・というレベルの話ではなく、とはいえ、改めてこの問いを持った時に、何が見えて来るのか。それを三人一組でダイアログ(対話)して行きます。
(注:集まっている方やその場の状態によって問いは変わるため、毎回同じ始まり方をする訳ではありません。むしろ同じという事はほとんど無いと言えるほどです。)
人は、答えの無い「問い」を持つ事で探求が始まります。会社で、「お前、何で今ここに居るんだ?」なんて事は問われないと思いますが(笑)本当には、何故、我々はここに居るのでしょうか。何かの理由があり、何かの意志や意図が働いて、身体を動かしその場に居る事を選択しているはずなのです。
「日々忙しくて、こういう事を考える余裕すら無かった」
「そういえば、実は今仕事でこんな事に行き詰まっていて、だからこの場に来ているのかも」
「話していたら、人生において重大な岐路に立っている事に気付いてきちゃった」
一人5分程度の対話を進めて行くだけで、様々な事に人は気づいていきます。この「気付く力」が今とても大事なのだという事を、場を通じて体感・実感していく流れが生まれていたように思います。
同時に、緊張していた場が徐々にほぐれていきました。場が緊張している時、一体自分は何を感じ、どんな事をしているのか。何が人間をそうさせているのか。人間とはどのような生き物なのか。
安心安全の場が何故重要なのか。そして、どのようにその安心安全の場は創られて行くのか。その体験と問いによって、その場に必要な学びと気づきが、参加している皆さんを通じてどんどん溢れて行きました。
それを踏まえた上で、何故在り方 (Being)が重要なのか、適合と創造の違いは何なのか、など、CCCが提供しているこの基幹講座全体の意図やUプロセスについての全体像が共有され、更に場は深まって行くのでした。
◯ NVC(思考-感情-ニーズ)と「エンパシーサークル」の体験
そのように、U理論をベースとした自己や組織の変容プロセス(Uプロセス)の全体像をある程度理解した後、その後の1日半を通じて
・そのプロセスを進む為に具体的に必要なソーシャルテクノロジー(NVCの共感・エンパシー)や観点(メンタルモデル・源リーダーシップ)を知り、体験する。
・自分自身の内なる真実(自分の本当に大切な想いや願い)に気付く力(内省力)や、その為に必要な安心安全の場の必要性と可能性を体感から掴む。
というプロセスが進んで行きます。
そのソーシャルテクノロジーの一つ、NVCの共感・エンパシーを体験から掴んで行く「エンパシーサークル」が実施された様子をお伝えすると、
人間には思考だけでは無く、感情が在る。
そして、その感情の奥には満たしたい想い、ニーズがある。
そこに認知的になったとき、初めて見えて来る世界がある。
こんな事に気付いて行くプロセスが進んで行きます。
「今までモヤモヤしていた事はこれだったのか、というのがとても明確になった」
「問題は何も解決されてないのに、ただ話して、ただただ聴いてもらっただけで、こんなにも身体が楽になるとは・・その問題に対しても全然違ったアプローチが取れそうです」
「人って、意外と言葉以外の事も受け取ってるんですね。こんなに周りにバレてたとは(笑)」
そんな声と共に、「自分自身の内側に気付く」というプロセスが現実にもたらすインパクトを、それぞれが体感から掴んで行く時間になりました。
その場に一緒に居た感想として、参加した皆さんが「聴いてくれた、受け取ってくれた」という体験だけで人はこんなにも表情が変わるんだなぁと思いながら、「職場においてこの共通理解があったら、何だか色んな問題が変わりそうだなぁ」という声が場から出た事が、とても印象に残っています。
◯ 現実の創られ方に気付き、不本意な現実を創り出すメンタルモデルに気付いていく
それぞれにとっての深い体験とともに一人一人が繋がった初日を終え、2日目は自分自身に深く繋がり、気付いていくプロセスを進んで行きました。
自分自身がどのように現実を創っているのか。
なぜ、不本意な現実は創り出されるのか。
自分自身がどんな在り方から、どのような現実を創り出しているのか。
お互いサポートしながら、自分自身の内側にあるメンタルモデル(自分の思い込みとなっている無自覚な信念)について、内省し探求していくプロセスを歩んで行きます。
(※ メンタルモデルについては、 由佐のブログ をご参照ください)
この探求や対話から様々な気づきを得るとともに、メンタルモデル探求シートやシステム思考のシステムループ図を活用しながら、どんな問いで、どのように内省を進めて行くと自分自身の内側の在り方や真実に繋がれるのか、気付く力自体を高めて行く事を意図して進んで行きました。
それによって、日常に戻り日々を過ごして行く中で、今まで気付いていなかった事に新たに気付けるようになる事自体が、とても豊かな学びになるとの想いからです。
「今まで内省をしてたと思っていたのだけど、反省ばかりしてたから進まなかったのか」(※ 内省と反省の違いについては 村中のブログ をご参照ください)
「いつもなんでこうなっちゃうんだろう、と思っていた事が、自分が創り出している事が良く分かってしまって、とてもスッキリした」
「今までやって来た事がこうもはっきり出て来ると、受け取りたくなくてモヤモヤする部分もあるけど、受け入れざるを得ないかなぁという感じ」
体験と気づきは人それぞれですが、この2日間を通じてUのプロセスを歩む為の入り口に立った感覚、こういう風に内省を進めて行けば、今見えている現実が変化して行く可能性があるんだ、という事を皆さん掴んでいたと思います。
◯ 参加者のその後の変化 振り返りセッションの声
基礎が終わってからの約1ヶ月後、9/1(火)の夜に振り返りセッションが実施され、今の自分を改めて振り返り、学びと気づきにする場を持ちました。
折角なので振り返りシートを使った参加者の生の声を、一部こちらに紹介させて頂きます。
① 改めてあの2日間を振り返って、いま率直に感じている事は何ですか?
・大変だった。パンドラの箱を開けちゃったーどうしようー。さて、今後どうしていったらいいかなー。まーでも受けてよかった。自分のことがより分かるようになってきた。(30代 NPO理事/コンサルタント)
・おだやかな気持ちでいることが多い。(20代 人材系)
・職場のメンバーのほとんどが受講した事で、共通言語(?)のようなものができ、コミュニケーションが取りやすくなった気がします。本音ベースでのやりとりが増えて来ている気がします。(40代 クリエイター)
・あの2日間が大きなターニングポイントになった。自分に素直に向き合う覚悟が出来た。もう一回やりたい。(20代 企画職)
・すごく昔な気がします。僕にとってはあの日がこの濃ーい8月の始まりだったので、すごく感慨深いです。(20代 制作)
・自分のニーズが「貢献」や「自分に本物である」という発見をし、正にその通りだと思う一方で、自分に本物であるというニーズはまだ満たせていないのかなと感じている。(20代 イベント企画・運営)
・メンタルモデルを紐解き、自覚して生活していると、本当に今までの自分のパターンに気づけて、発見が楽しいくらいです。自分の感情と言動が一致して来ていて、無理をせずに生きていられる感じや元気が湧いて来る感じがしています。(50代 会社経営)
・相手のニーズをちゃんと知りたがっている自分がいる。ニーズを知りたがっている自分は、思っている以上に周囲に伝わってない。(30代 管理職)
② 基礎を終えてから今この瞬間まで日々を過ごして、新たに気づいた事、見えて来たことがあるとすればそれは何でしょうか。
・怒りのエネルギーや破壊のエネルギーは、過去に使って返り討ちで痛い目にあったから出すとダメだ、と抑制したり、他の表現の仕方をしてみたりしたけど、やっぱり満足できなかったな、ということがわかった。本当のニーズは、自己承認だったり他の人から理解されたい認められたいということかも。(30代 NPO理事/コンサルタント)
・その場の空気や、他人のニーズに適合しようとする時が在る事(に気づけるようになっている)。(20代 人材系)
・周囲に対するイライラが、自分に対するイライラであるという気づき。(40代 クリエイター)
・寂しさや恐れを覆い隠そうとする。 自分の弱い部分に向き合おうとすると、防ぎきれないほど大きな回避行動を取る。受け入れてもらった時の幸せ。(20代 企画職)
・「何か」をしなくても、自分を受け入れてくれる人はたくさん居る事。意外と感情的な自分。(20代 制作)
・自分に本物である(ありのままの自分)を出す事、出来ない自分を受け入れる事で、少し気持ちが楽になって来ている。(20代 イベント企画・運営)
・他人(主人やスタッフなど)のメンタルモデルは?...と思いを馳せて話をすると、今までに無い感じ方が出て来て、やさしく(?)なれる。私は人に嫌われる事がすごくイヤでしたが、自分に大嫌いな人がいる事を自覚して楽になれた。(50代 会社経営)
③ 参加する前の自分と、参加した後の自分で、何か変化した部分があるとすれば、それはどのような変化だと言えますか?
・より自分の感情に率直になりました。妻を守らなきゃ、とか幸せにしなきゃ、とか言っている男の人にイライラするようになった。これまではそういう人は自分とは関係ない世界だったのだけど、そこが統合されようとしているのかも。守られても、守られなくてもいい、というところにいきつくのだろうか。(30代 NPO理事/コンサルタント)
・反省をする事が減った気がする。その時の自分の状態を受け入れる、というフェーズを挟むようになった事で、突発的な感情で話す事が減った気がする。(30代 人材系)
・「まあ、それもありかな」と思う機会が増えたかもしれない。(40代 クリエイター)
・恐れや寂しさを感じた時に、1回自分で受け止める。そうすると泣いてしまうほどに溢れ出す。さらけ出せるようになった。(20代 企画織)
・人に優しくなった。自分の感情に自覚的になった。人からの見られ方を以前ほど気にしなくなった。(20代 制作)
・イライラや疲れを感情として感じている。前は感じない為にコントロールしていた。(30代 管理職)
⑤ いまの自分はどんな自分だと言えますか?
・興味深い進化のプロセスをたどっている人。(30代 NPO理事/コンサルタント)
・前よりやわらかい自分。軽い。素直。(30代 人材系)
・感じるチカラが全開になっている。体の表面が全部感じるまくに覆われている。(20代 企画職)
・以前より素に近い自分 楽な自分 自分を認めてあげてる自分。(20代 制作)
・まだ自分が見えていない自分。まだ恐れている自分。まだ殻や壁を作っている自分。自分が無い自分。前よりは少し楽になった自分。(20代 イベント企画・運営)
・ずーっと求めていたモノを、自分の内側で見っけて、喜びに溢れている!!超楽しい!でも、少し調子に乗ってるかな?・・・調子に乗ってても、今はいいか!!と思っている事も出来てる!!(50代 会社経営)
⑥ このシートを記入するプロセスを改めて振り返って、いま、感じていること、気づいたことはなんでしょうか。
・こういう変化はおもしろいなぁー。(30代 NPO理事/コンサルタント)
・自分の中の変化を改めて感じる事で、”良かったな”という気持ちと”もっと良くなるかな”という希望、期待。(30代 人材系)
・うまく言葉に出来ない。スッキリしてる。モヤモヤが無くなった。今までグチグチ言い過ぎていた。その状況をつくり出していた。感じても見ないふりをする。一旦見て、鍵をかけてしまっておく事が多かった。(20代 企画職)
・この1ヶ月、本当に色々あったなぁ。楽になりました。(20代 制作)
・人生のステージが変わった…これからの人生を何のために…もっと人と関わって行きたい。(50代 会社経営)
・毎日を大事にしたい。対話を大事にしたい。⇔スピード/適合の限界。自分が大事にしたい事がでもまだぼんやり…(30代 管理職)
⑦ 最後に、基礎2日間を共に過ごした仲間達にシェアしたいことを自由にご記入ください。
・ここから先このあとどうなっていくかわからないけど、すべては繋がっているという意識でずっといたいですね。(30代 NPO理事/コンサルタント)
・きっかけや気づきを得られる時間を頂けた事に感謝です。(30代 人材系)
・初対面の人にありのままの自分の事を話す事や、ふだん仕事で「出来る自分でいたい」が故にそういう見せ方をしている人にありのままを話す事は、自分の中でハードルが高く、でもそうすると決め、皆さん受け入れてくれたので、たくさんの気づきを得て、長いトンネルを抜ける事が出来ました。ありがとうございました。(20代 企画職)
・すごくいい感じです。(20代 制作)
・若い方々と一緒でとても楽しかった。皆さんの顔が変わったね!(50代 会社経営)
◯ 終わりに
1ヶ月経って皆さんにお会いして感じた事は、皆さん必要なプロセスの入り口に立ち、歩みを進め始めているんだなーという事でした。
講座の2日間だけが学びでは無く、この視点やソーシャルテクノロジーを受け取った上で過ごす日々から、皆さん、大事な事を気付いたり学び続けたりしていて、本当に豊かだなぁと感じました。
ファシリテーターとして場を創る上で必要な在り方(Being)を学ぶだけでなく、その気付く力によって、自分自身の「職場」や「家庭」という場、そして「自らの人生」という場においても、とても大切な在り方(Being)に気づき、学んでいく基礎力が確実に上がった事が、振り返りの内容やその振り返り方からひしひしと伝わって来た事が、とても嬉しく思いました。
今後更に多様性が増して行く、そして今までの常識とされていた価値観が大きく揺らいでいるこのシフトする時代の流れの中で、周りに「適合」して生き続けるのはやはり限界に来ているのでは無いかと思います。
自分自身の本当の願いに繋がり、「創造」から生きる喜びに満たされ生きていく。そんな新しい在り方、生き方を体現していく仲間がまた一人、また一人と増えて行く事に、人間の可能性や希望を感じざるを得ませんでした。同時に、まだ見ぬ方々との今後の新たな出会いが楽しみでしかたありません (^^)
皆さんとお会い出来ることを楽しみにしています。
(文・藤本海)
◯ 今後の予定
CCCでは、主に月1回のペースで基礎講座を実施しています。
基礎講座を含めたその他の講座に関しては、 講座スケジュール一覧 をご覧下さい。