「不本意な反応から自由になる」○○から自由になるシリーズ(1・前半)

オンラインで対話しながらひとつのテーマを探求していくスタイルが「新しい可能性の扉を開いた!」と大好評だった「私と問いとの対話」。「○○から自由になるシリーズ」として、毎回ワンテーマで実施していくことになりました。前回に引き続き、今回も録画を後日視聴した様子をレポートします。

シリーズ化第1回は「不本意な反応から自由になる」

例えば、相手の言葉や態度にイラっときて、本当の思いとは違う言葉を返してしまい、更にそこから自分が望んでいない展開に陥る。ショックな言葉を受けてフリーズし、自分のしたかった表現が萎縮してしまう…そんな「不本意な反応」から「自由になる」とは、どういうことなのでしょうか。
(そんなことできたら嬉しいけど、でもきっと難しいよ?可能なの?)と、やや疑念を抱きながら、同時に大きな期待も抱きながら、視聴をスタートしました。

「自分の人生から反応がなくなるかと言ったら、なくならないんです」と、冒頭からのみいちゃん(由佐美加子)の言葉。…あれー、そうなの?残念…

でも考えてみたら確かにその通り。「反応しない、気にしない」って言い聞かせようとすればするほど気になって、反応にしばられていく…そんな経験が、わたしにも度々あります。
それではいったい、反応について、私たちの中の何が、どのように自由になるのでしょうか?
「反応はそもそもどうして起きるのか、その反応が起きているときに私たちはそれをどう扱っていて、そしてそれは本来どう扱えるものなのかということを、みんなで探求していけたらいいなと思っています」

「本来はどう扱えるものなのか」…聞き慣れない表現です。わたしの中には、「こう扱うしかないでしょう?」という感覚があります。例えば、「だってイライラが昂じたら言うしかないでしょ?」とか、「怒られたら黙るしかないよね?」という具合に。そこに選択の余地がある、という感じを全然もっていないのです。でももしかすると、ここがブレイクスルーのヒントになるかもしれない…そんな風に感じました。

【不本意な反応が何故起こるのか・抜粋動画(5分)】

わたしは『反応』について何をつかみたいのか

始めはグループ毎のチェックインです。

「『反応』ということに対し、自分は何をつかめていて、何をつかめていなくて、そして、自分は今日なにがつかめたらいいか」ということについて、グループ毎に対話するところから始まりました。
グループ対話から戻ってきた参加メンバーがチャットに「〈反応〉に対してつかみたいと思っていること」を書きこんでいきます。

「反応の仕組みが知りたい、理解したい」という声もあれば、「反応からどう降りるか、どう手放すかを知りたい」という声もあがります。また、「何を守りたくて何から逃げたくて反応するのか」という問いも。中に「何かを感じ損ねている。もう一度選択したい」という声もありました。冒頭の「どう扱えるものなのか」という言葉と、関連がありそうです。

わたしが前提としてもっている「世界に対する思い込み」を見る

「まず自分の書いた言葉を見て、そこに、世界に対するどんな思い込みの前提があるのかを見てください」とみいちゃん。

スクリーンショット 2016-06-22 20.19.08

たとえば、「何を守りたくて、何から逃げたくて反応しているのか」という問い。守らなくてはいけない、逃げなくてはいけないということは、わたしが世界をどういうところだと捉えているからなのでしょうか?

「危険な場所、です」(参加メンバー)

「それをまずつかまえてください。わたしは世界を危険な場所だと捉えているんだ、ということが、この一文からも分かります。反応は、自分が世界をどういうものだと捉えているのかを、いつも教えてくれています。…それぞれ、自分のを見てみてください。」(みいちゃん)
何人かの「反応」から、その起点となる世界をみいちゃんがひもといていきます。

「負けた気になる、という反応が起きる。…世界は勝ちか負けか、『世界は戦場だ』だよね。」

「分からなくてフリーズする、という反応が起きる。世界が分からなくてフリーズする時、『世界は分からないから怖い』だよね」

「世界は私を吊るし上げる場」という世界観に対しては、こう伝えます。

「わたしは世界から理解されずに責められる、というところに住んでるんだね。そうしたら、理解されようとして一所懸命人に関わらざるを得ない。それが反応の源泉です。根底には、世界に対する恐怖がある。『分かられていないということは危険だ、恐ろしい』がある。そこに反応が芽生えているわけです。」(みいちゃん)

「文句だけいう人にイラっとする…その世界には、文句ばかり言う人と、それに対して働きかけている人がいるよね、いつも。『世界は搾取される場だ』だねえ。」(みいちゃん)

淡々とひもとかれていく一人一人の世界の、荒涼とした様子に驚かされます。戦場とかつるし上げとか搾取されるとか…。でも同時に、わたし自身の内側にも、同じような世界が広がっていることに気づきます。

「世界が●●だ、という認知はひとりひとりちがう。自分が世界をどう規定したか。そしてその世界が危険で恐ろしいまま、塗り変わらずに未だに生きてる、というのが今の大人たち。本当はそれは小さい時に創っているんです。戦わないとこの世界ではやられちゃう、とか、生きていけない、とか。で、勝ち目のないその戦いにひたすら耐える、ということをやっている。小さい頃は、実際に勝てないでしょう。その体験を大人になってもずっと持っているわけです。

このことに関して、『なぜそうなったか』っていうのは基本的にどうでもいいんです。探求してもあんまり意味がない。だけど、今わたしが世界に持ってる認知が何なのか、ということを知るのがすごく重要。それは今に影響しているから。」(みいちゃん)

「反応」はバーチャルな世界から起きている!?

なるほど。でも、それにしても、いろいろな人の反応とその起点となる世界観を聞いていると、そこから自由になるなんて到底できないような気がしてきます。
すると、ここでみいちゃんからひとつヒントが出されました。

「この反応の世界はわたしがいつのまにか無自覚に勝手に持っている世界であって、わたしが作った世界ではない、というところがすごく大事です。でもそれが、現実の世界で起きている、と思ってぐちゃぐちゃになってしまうところが、人間が苦しむところ。私たちが持った、この世界は危険だ、危ない、恐ろしい…っていうラベルから起きてきているこの反応は、わたしたちの世界に起きていることではなくて、知らないうちに創り出されちゃった、バーチャルな世界から引き起こされている現象なんです。この区別がすごく大事。」

「反応」はわたしに何を伝えているのか?

次のグループワークでは、次のような問いかけがなされました。

「自分の反応から、どういうメッセージを受け取れるか」

たとえば自分が「自分は世界から搾取される」という世界から反応している。そのことは、「自分の内側は何を取り戻す必要があるのか」ということを教えてくれている、とみいちゃんは言います。自分が無自覚に起こす反応には自分が受け取ったら良いメッセージが隠されている、それを受け取ることだと。

「外側で起きていることはすべて、内側で起きていることの気づきになる。全部材料になるんです。そうすると、外で起こったことは、もう気づくためのネタでしかない。何に気づくかというと、『自分の内側の世界が今どうなっているのか』ということ。それに関する情報が、外側の世界の反応の中にある。それはいつも、メッセージを送り込んできているわけです、内側に。本当はこういうことを大事にしたらいいよ、というのもそうだし、君の本当に望んでいる世界はこうだよ、ということもあるし、君が終わらせたいものというのはたぶんこういうことだよ、という時もある。その情報をもとに世界は再構成できる。その情報を参考に、自分の望む世界をつくったらいい。小さい頃に決めちゃった世界観じゃなくて、本当は自分は何を大事にしたどういう世界を望んでいるのか。」(みいちゃん)

グループでのワークを終えた参加メンバーの声の一部です。

「反応」が教えてくれるメッセージ

  • 孤独じゃない、親密であることに気づいて
  • 喜びから生きなさい
  • すべての人に価値がある
  • 制限をかけてるのは自分。自由だ
  • ぎえー、本当にのぞんでいた世界を阻んでいたのはわたし?
  • 世界は美しい、人は美しい、自然はそのままでオーケーだ
  • がっかりしているのは私の勝手

一番最初に上げた世界とはまったく違うものが現れはじめます。

次に、その二つを対比してみるようにとの投げかけがありました。

「ひとつ、〈反応〉の体験例を上げてください。その反応が起きたときに、はじめの世界観からそれを聞くとどんな風になるのかということと、今受け取ったメッセージの世界からは、どんな風にそれを扱えるのかという対比をしてきてください。」(みいちゃん)

反省しない、後悔しない

古い世界観と新しい世界観の対比。例えばわたしはこれまで、「世界は怖いから自由に表現できない」という世界観を持っていました。しかし、反応を見ていく中で、「世界で、自由に表現していい」というメッセージを受け取ることができました。ああ、なんでわたしは「世界は怖いから」なんて思ってたんだろう…。

両方見えてくると、こうして「古い世界」への反省がよぎります。そこへ、みいちゃんから「反省」についてのサポートが入りました。

「人は反応しながら同時に罪悪感を感じています。だから、『その古い世界に住んでいたらそりゃあそう思うよね』っていう風に、グループで共感してきてもらってください。そして、今書いてくれた新しい世界を、自分が本当は住める世界だと捉えて、起きたこと、人が言ったことについて、今だったらどんな風にそれを扱えるのか、という可能性に触れてきてください。」

古い世界にいた自分に共感し、新しい世界に生きる自分の可能性に触れる…。

続きはこちら
「不本意な反応から自由になる」○○から自由になるシリーズ(1・後半)

この記事に関する感想や問い合わせは、こちらまで。